ストーリー詳細

真心を込めて綴られた時の絵巻を静かに味わって。胸を打つ声と響き合う調べに導かれ、ステージと日常が交わるかけがえのない記憶をもう一度心に抱きしめます。

花飾りのためのデコール · EPISODE 5

静かに眠る

——忘れられない、夜にしようぜ!

ADV 10064 · 再生時間 14:41

解放条件

  • プレイヤーランク 5

クリア報酬

まほろ(まほろ)

それから、私たちの騒がしい日々は続いて

まほろ(まほろ)

夏がきて

奏多

絶対こっちのフレーズのがいいって! ライブでも盛り上がる!

なつめなつめ

盛り上がりなんてどうでもいい。 あたしは曲の芸術性を重視してるの

奏多

あーもう、なんでわっかんねーかな〜……!

なつめなつめ

それはこっちのセリフ。 ちょうどいいわ、あれで決着つけるわよ

奏多

お、いいね〜〜。そこだけは気が合うな

奏多

なつめ、わたしとセッションしようぜ!

朋花朋花

あの〜……お二人、セッション始めちゃいましたけど…… 放っておいていいんですか?

凪凪

あー、うん。大丈夫。 ああなったら一応着地はするし

まほろまほろ

そうそう、もう慣れちゃったよね〜。 これが私たち流って言うか

奏多

っしゃ! 大勝利!! 奏多サマ無敵〜〜!!

なつめなつめ

負けてない! まだ負けてないわよ!

奏多

ほ〜ん。 なら『もう一回セッションお願いします』じゃね??

朋花朋花

…………

凪凪

あー…… 奏多のファンだって言ってたけど……幻滅した?

朋花朋花

いえ……

朋花朋花

血の気の多い奏多さんも、とーっても素敵だと思います♡

まほろ・凪まほろ・凪

……あはは ……あは

まほろ(まほろ)

秋が来て、冬が来て

奏多

…………

なつめなつめ

どうすんのよ……もう朝どころか昼なんだけど!?

なつめなつめ

練習合宿するって言ったの誰よ! 結局夜通し喋ってゲームして終わっちゃったじゃない!

凪凪

や……なつめ先輩もがっつり楽しんでたじゃないですか……

なつめなつめ

うっ……

朋花朋花

まほろさん、起きてください

まほろまほろ

う〜〜〜ん……おかわり……

朋花朋花

まあ、なんてベタな

なつめなつめ

まほろっ! いつまで寝てんのよ!

まほろまほろ

へぇあ!?

凪凪

あは。やっぱ寝起き悪いね

奏多

……ふふ。あははっ

朋花朋花

? どうしたんです、奏多さん

奏多

いや……なんかバカみてえに幸せだなって。 おかげで、いいのが思いついた

なつめなつめ

何を? あっ! 新曲のフレーズ!?

奏多

いや、バンド名

朋花朋花

バンド名……? 『アクアラピッズ』じゃなくてですか?

奏多

今のは、仮で付けてたやつだからさ。 ちゃんとしたのほしいなーって、ずっと考えてたんだよ

奏多

で……今、いいの思いついた

まほろまほろ

ん……ごめん……今何の話してる……?

凪凪

奏多が正式なバンド名思いついたって

奏多

そ、すんげーいい名前

奏多

millsage

凪凪

……で、そのちゃんとした名前はどういう意味?

奏多

おう、これはな――

まほろ(まほろ)

笑って、はしゃいで、たくさんライブして。 特別だけど、なんでもない日々を過ごしてた

まほろ(まほろ)

季節はめぐって。気づいたら私たちは高校生になって。 結成から一年とちょっとが経ってた

まほろまほろ

汐見蛍ちゃん?

奏多

そ。最近知り合ったんだけどさー、 めっちゃくちゃピアノ上手いやつでさ

朋花朋花

奏多さんがそこまで褒めるだなんて、 よっぽどすごい方なんでしょうね

朋花朋花

ぜひ一度お会いしてみたいものです…… あっ、でももちろん一番は奏多さんですよ♡

奏多

やー……どうだろな。 もしかしたらあいつ、わたしより上手いかも

凪凪

……かも?

奏多

うん。なんでかは知んねーけど、 いっつもどっか遠慮して弾いてんだよな

奏多

苦しそう……っていうか

奏多

本気でやったらぜってーすげーのに

なつめなつめ

どうだか。案外それが本当の実力だったりするんじゃない?

奏多

いーや、わたしにはわかるね。 蛍はマジですごい音楽をやるヤツだ

奏多

なんてったって、わたしの弟子だかんな

まほろ(まほろ)

そして、去年の9月

まほろまほろ

ごめーん! 着替えるの手間取っちゃって……

奏多

おっせーぞまほろ! ほら見ろ、体育館パンパン

まほろまほろ

! わぁ……こ、これ! 全校生徒いるんじゃない!?

なつめなつめ

はんっ、ようやくあたしらの実力が知れ渡って来たみたいね

凪凪

文化祭ステージの大トリとか……なんとまあ

まほろまほろ

去年と大違いだね。 中等部の時の文化祭は、ホントヤバかった

凪凪

お客さん数えられるくらいだったもんね

なつめなつめ

13人よ

奏多

はは、なつめしつけ〜。 デリケートなわたしも、あん時はおおいに傷ついたねェ……

奏多

でも! そっからのこの満員! そんでこの衣装バッチリ状態はアツいだろって!

まほろまほろ

だねっ!

朋花朋花

ふふ。まほろさんの衣装もサイズは大丈夫そうですね

まほろまほろ

うん……! すごいねこれ、かっこいい! なんか……バンドって感じ!

凪凪

あは。今までもバンドでしょ?

まほろまほろ

そ、そうなんだけど! そうじゃなくって!

まほろまほろ

えーっと、何て言うか……そう!

まほろまほろ

私いま! 人生始まりそうな気がする!

奏多

……!

奏多

ははっ、いいじゃん。 こっからステージ降りるまでの間は、わたしたち5人が主人公だ

奏多

ベイビーばりのでけえ声、上げてこうぜ

奏多

――わたしたちはここにいる、ってさ!

まほろまほろ

……うんっ!

奏多

よーお前ら! 来てくれてサンキューな! 文化祭楽しんでるか? 楽しんでるに決まってるよな!

奏多

わたしの最高のバンドメンバー、紹介させてくれよ!

奏多

ギター、伊沢なつめ!

奏多

もひとりギター、琴平凪!

奏多

ベース、浜崎まほろ!

奏多

ドラム、和泉朋花!

奏多

そんで最後は! キーボードボーカル、沢海奏多!

奏多

そんな5人で、millsage! そろそろ音楽始めてこうか!

奏多

――忘れられない、夜にしようぜ!

まほろ(まほろ)

それが、5人でライブした最後の日

まほろ(まほろ)

それから、たった数週間後

まほろ(まほろ)

ある晴れた秋の日に

まほろ(まほろ)

奏多は、静かに、息を引き取ったの

まほろまほろ

…………

なつめなつめ

なんで……なんでよ……っ!

なつめなつめ

あたしたち、これから……っ! これからだったじゃない……!

なつめなつめ

責任……取りなさいよ……っ!!

朋花朋花

…………

朋花朋花

そうですよ

朋花朋花

私、怒ってます。 あんなに夢中にさせておいて、いなくなってしまうなんて

朋花朋花

あんまりじゃないですか

朋花朋花

でも、でも

朋花朋花

やっぱり……悲しいです

凪凪

……ねえ、奏多

凪凪

何で余命のこと、黙ってたのさ

凪凪

バンド組んだ時からとか……そんなの……っ!

凪凪

そんなのもっと……上手くやれたはずじゃんか……!

凪凪

バカだよ、ほんと……っ!

まほろまほろ

……どうしよう

まほろまほろ

……私

まほろまほろ

どうしたら……っ

まほろまほろ

それが、半年前のこと

まほろまほろ

……それから、みんなで話し合ったんだ。 millsageをどうするかって

まほろまほろ

奏多がいないと、millsageの音楽には ならないってことも、わかってたけど

まほろまほろ

それでも……バンドは続けたいって、 私がみんなにお願いしたんだ

蛍蛍

……そうだったん、ですね

蛍蛍

……まだ、いろんな気持ちがぐるぐるしてます

蛍蛍

でも、今日ここに来なかったら、わたし…… 本当のことを、ずっと知らないままだったから

蛍蛍

だから……話してくださって、 ありがとうございます

まほろまほろ

……ううん。こっちこそ、 来てくれてありがとう

まほろまほろ

——終わっちゃう前に、伝えられてよかった

蛍蛍

……え?

まほろまほろ

…………

凪凪

millsage。解散するって決めたんだ

蛍蛍

え……!?

凪凪

奏多のお葬式が終わってから、 なつめ先輩……リードギターの人が来なくなってさ

凪凪

『奏多がいないならやる意味ない』『弾きたくない』……って

朋花朋花

私たちのことも、避けるようになってしまって

まほろまほろ

……すごく辛いんだと思う。 私も……私たちも、そうだから

まほろまほろ

無理に付き合わせるなんて、できないよね

蛍蛍

…………

凪凪

それでひとまず、3人でも やれることをやろうってなったんだけど……

朋花朋花

やはり、5人でやっていた音楽を 3人でやるのは、物理的に難しく

朋花朋花

特に、まほろさんの負担がかなり大きくなってしまって

まほろまほろ

…………

朋花朋花

このまま続けていくのが本当に正しいのか、 3人で話し合ったんです

凪凪

バンドは……残せるなら、残したいよ

凪凪

でもそのために、まほろが無理をすることに なるなら……それは違うと思うから

朋花朋花

そうですね。それにお客さんからの評価も、 5人の頃のものからは随分変わってしまっています

朋花朋花

思い出を綺麗なままにしておくのも、 大事なことだと思うんです

蛍蛍

だから……解散……

まほろまほろ

うん……そうだよ

蛍蛍

そんな……

蛍蛍

奏多さんは、millsageが宝物だって……!

凪・朋花・まほろ凪・朋花・まほろ

…………

蛍蛍

……っ

蛍蛍

(ダメだ)

蛍蛍

(わたしなんかが、口を挟んでいいことじゃない)

蛍蛍

(このバンドのことも、皆さんのことも、 何も知らないのに)

蛍蛍

ごめんなさい……わたし、余計なこと……

まほろまほろ

ううん。ありがとね、蛍ちゃん

まほろまほろ

最後のライブ、よかったら観に来て欲しいな

まほろまほろ

あ、まだ全然日にちは決まってないんだけどね

蛍蛍

……はい

まほろまほろ

蛍ちゃん、奏多のために……泣いてくれてありがとう

蛍蛍

(……でも)

蛍蛍

(本当に……これでいいのかな……)