ストーリー詳細

真心を込めて綴られた時の絵巻を静かに味わって。胸を打つ声と響き合う調べに導かれ、ステージと日常が交わるかけがえのない記憶をもう一度心に抱きしめます。

花飾りのためのデコール · EPISODE 13

空の向こうへ

(……私は、償わなきゃいけない)

ADV 10072 · 再生時間 12:22

解放条件

  • プレイヤーランク 13
  • millsage バンドランク 2

クリア報酬

練習終了後

凪凪

……居残り練習?

まほろまほろ

鍵は後で凪ちゃんちのポストに入れて置くから、ね?

凪凪

いやまあ、使う分にはいいんだけど……なんで?

蛍蛍

? おふたり、どうしたんでしょう?

朋花朋花

あら? またよくない癖が出てきちゃいましたかね

蛍蛍

よくない癖?

朋花朋花

……まほろさんは『がんばり屋さん』ってことです♪

まほろまほろ

あ、や〜……私ももっと、やらなきゃなって!

まほろまほろ

ほら、蛍ちゃんもちょっとずつ慣れてきて、 いい感じでしょ?

まほろまほろ

だったらあとは私がボーカル上手くやれるようになったら、 全部解決じゃない?

凪凪

それはそうかもだけど……てか、あれ? 結局ベースのパートってどうなったの

凪凪

なつめ先輩に頼んで、簡単にしてもらうんじゃなかったっけ

まほろまほろ

あ〜……それは……

なつめなつめ

今のままでやらせてほしいって、断られたわよ

凪凪

……え? なんでですか?

なつめなつめ

さあ? 本人に聞きなさいよ

凪凪

……まほろ?

まほろまほろ

……っ、お願い! もう一回だけ、がんばらせて

まほろまほろ

蛍ちゃんのおかげで解散がなくなって、 せっかく前みたいな音楽ができそうなんだもん

まほろまほろ

ちゃんとバンドを続けるためにも……これからのためにも。 今ここで妥協するのは良くないかなって

蛍蛍

まほろさん……

凪凪

これからって……別に私たち、 プロ目指してるわけでもないじゃん

まほろまほろ

そ、それはそうなんだけど……

なつめなつめ

やってみる分にはいいんじゃない? 本格的に無理そうだったらまた考えればいいんだし

なつめなつめ

作詞と一緒にできるのかはちょっと疑問だけど

凪凪

待って待って、作詞もまほろがやるの? それって前より負担増えてるじゃん

なつめなつめ

……あんた、それも言ってなかったの?

蛍蛍

えっ……じゃあまほろさんの負担って 減ってないんですか?

まほろまほろ

あはは……でも大丈夫! 今までの努力で足りないなら、もっと努力すればいいだけ!

まほろまほろ

私まだ、がんばりきれてない。 だからもっと、がんばらなきゃいけないんだよ

凪凪

……!

凪凪

…………はぁ

凪凪

私も付き合う

まほろまほろ

もう、ほんと心配性〜

凪凪

隠し事してたまほろに、文句言う権利ないからね

まほろまほろ

ううっ……

蛍蛍

わ、わたしも何か手伝いますっ!

なつめなつめ

ダメよ。ガキンチョはもう帰りなさい。 あたしみたいに歩いて来れる距離じゃないんだし

蛍蛍

ガキンチョ……

朋花朋花

私も今から居残りしてしまうと、 門限が怪しくなってしまうので……すみません

まほろまほろ

わ〜もう、みんな気にしないでいいから! お疲れ様、またね!

蛍蛍

はい……失礼します

蛍蛍

…………

蛍蛍

(まほろさん、大丈夫かな)

朋花朋花

心配ですか? まほろさんのこと

蛍蛍

まほろさん……がんばりたいって言ってましたけど……

蛍蛍

負担は全然減ってないのに、歌詞もやるって…… それに、わたしのこともいっぱいフォローしてくれて

蛍蛍

でも、まほろさんのがんばりたいって気持ちを 無視なんてできないですし……

蛍蛍

わたしに、何かもっとできることないのかなって

朋花朋花

…………

朋花朋花

ありますよ♡

蛍蛍

えっ、教えてください!

朋花朋花

蛍さん。私たちのライブ動画って、 ご覧になったことはありますか?

蛍蛍

はい。なつめさんが見せてくれました

朋花朋花

すごかったでしょう、奏多さん

蛍蛍

はい……! あんなに難しいフレーズを 弾きながら、本当に楽しそうに歌っていて

蛍蛍

奏多さんのすごさはストリートピアノで知ってましたけど 天才って、こういう人のことを言うのかな……って

朋花朋花

……ああ

朋花朋花

あなたにも、そう見えたんですね

蛍蛍

……?

朋花朋花

――私、天才って大好きなんです♡

朋花朋花

唯一無二、天衣無縫。 決して誰も真似のできない、別次元の存在

朋花朋花

もっと思いっきり、光って、煌めいて――

朋花朋花

私を。灼き尽くして欲しいんです

蛍蛍

え、えっと……?

朋花朋花

けれど、神様は意地悪です。 ある日突然、私からそれを取り上げて——

蛍蛍

(なんの話だろう……?)

朋花朋花

話が逸れてしまいましたね

朋花朋花

まほろさんは今、『沢海奏多という天才』の代役を やろうとしています

朋花朋花

必死にガラス玉を磨いて ダイヤモンドになろうとしている……

朋花朋花

でも、他でもないあなたなら、まほろさんを救えます

蛍蛍

教えてください! どうすればいいんですか!?

朋花朋花

簡単ですよ。苦しみを分かち合って、半分に――

朋花朋花

蛍さんも、ボーカルをやればいいんです

蛍蛍

……ボーカルを?

朋花朋花

この前の練習、大絶賛でしたね。 私も思わず見惚れてしまいました

朋花朋花

その時に気づいたんです。 蛍さん……小さく歌っていましたよね?

蛍蛍

え……?

朋花朋花

ふふ、無意識でしたか?

朋花朋花

でしたらやっぱり、蛍さんも歌うべきです

朋花朋花

自然とそうしてしまうくらいに、 お好きだということですから♡

蛍蛍

…………

蛍蛍

(わたしが、歌を……?)

蛍蛍

(確かに、奏多さんと一緒に弾いてた頃…… ううん、もっと昔)

蛍蛍

(小さい頃は、弾きながら歌ってたっけ)

蛍蛍

でも……好きなことと、 ちゃんと歌えるかどうかは別なんじゃ……

朋花朋花

どうでしょう? 好きこそ物の上手なれ、という言葉もあります

朋花朋花

少なくとも、まほろさんがああなっている以上、 負担を減らす方法はいまのところそれしかないかと

朋花朋花

あら、もう駅に着いてしまいました。 それでは蛍さん、また練習で♡

蛍蛍

あ、はい……! お疲れ様でした……!

蛍蛍

…………

蛍蛍

(まほろさんの、ためになるのかな……?)

蛍蛍

(こういう時、奏多さんならどうするんだろう)

蛍蛍

(……奏多さん)

まほろまほろ

——♪

まほろまほろ

——……げほっ、げほげほっ……!

まほろまほろ

んんっ……はぁ、はぁ……

まほろまほろ

……こんなんじゃダメだ、全然ダメ……!

まほろまほろ

(今度こそ、うまくやらなきゃ)

まほろまほろ

(みんなのためにも)

まほろまほろ

(奏多の——叶えられなかった夢のためにも)

文化祭ライブ終了後

まほろまほろ

あ……だから、millsage……? フランス語の千と——

奏多

祝い花のコサージュでmillsage

奏多

両手いっぱいじゃ足りないくらいの、 幸せのおすそ分けだ

まほろまほろ

……っ!

まほろ(まほろ)

その時の私は、なんだか胸がいっぱいで

奏多

なあ、まほろ。 わたし、実はな——

奏多

——彗星ライジング、出たいんだ

まほろまほろ

……え?

奏多

彗星ライジング。知ってるだろ? 学生バンドの登竜門

奏多

10代限定のコンテストで、勝ったら野音に立てるやつ!

まほろまほろ

あー、うん。聞いたことあるかも。 バンドの甲子園、って呼ばれてるんだよね

まほろまほろ

え……それに出るって言った?

奏多

言った!

奏多

実はわたしさ、これ見てバンドやりたいって思ったんだよ

奏多

めっちゃ良くね?  野音だぜ野音、寿々谷音楽堂! バンドの聖地!

奏多

次の彗星ライジング、出ようぜ! わたしたちの音楽、野音に響かせよう!

まほろ(まほろ)

満たされて、しまっていて

まほろまほろ

え〜? 奏多はホント急だな〜。 ちょっとまだ私たちには早いって

奏多

いやいや! millsageならいけるって! 今日の文化祭でわたしは確信した!

奏多

寿々谷音楽堂! 悪くないねえ。 いい目標じゃん!

まほろまほろ

でも……さっき奏多、幸せだって言ってたよね? だったら別に、今のままで良くない?

奏多

やっぱ夢は、おっきくないと!

まほろ(まほろ)

今より高く羽ばたくことを、怖いと思った

まほろまほろ

……じゃあ、その次! 今回じゃなくて次とかで良くない?

奏多

……あー

まほろまほろ

うん! そうしようよ! その頃にはきっと、もっと上手くなって万全の状態だと思うし!

まほろまほろ

まだちょっと私たちには早いよ、ねっ

奏多

んー……そっか

奏多

まほろがそう言うならそうすっか!

まほろまほろ

そうそう! その方がいいって

まほろ(まほろ)

私は気づいていなかった

まほろ(まほろ)

奏多に残された時間は、長くなかったということに

まほろまほろ

(——奏多の夢は叶わなかった)

まほろまほろ

(がんばろうとしなかった私のせいで)

まほろまほろ

(臆病で甘ったれな私のせいで)

まほろまほろ

(あの時の、残念そうに笑う奏多の笑顔が…… 焼きついて離れない)

まほろまほろ

(……私は、償わなきゃいけない)

まほろまほろ

(millsageで、寿々谷音楽堂に立って。 空の向こうの奏多まで、音楽を届けなきゃ)

まほろまほろ

(じゃないと、私は)

まほろまほろ

(私のことを、死んでも許せない)