ストーリー詳細

真心を込めて綴られた時の絵巻を静かに味わって。胸を打つ声と響き合う調べに導かれ、ステージと日常が交わるかけがえのない記憶をもう一度心に抱きしめます。

花飾りのためのデコール · EPISODE 18

なにもなくても

私だって、主人公なんだって思いたいよ!!

ADV 10077 · 再生時間 18:15

解放条件

  • プレイヤーランク 18
  • millsage バンドランク 4

クリア報酬

朋花朋花

……蛍さん

朋花朋花

(最寄り駅までくればもしかして、と思いましたが)

朋花朋花

(さすがに、出てきてはもらえませんか)

朋花朋花

(昨夜送った連絡も反応なし)

朋花朋花

(これは……嫌われてしまいました、かねえ)

朋花朋花

はぁ……これで終わりですかね

朋花朋花

(また私は、死に損なった)

クラスメイトA

朋花ちゃんすごーい!

クラスメイトB

さすが朋花ちゃん!

教師

和泉さんに任せれば安心ね!

ほうかほうか

えへへ、そんなことないです。 みんなのおかげですよ

朋花(朋花)

――かつての私は、驕り高ぶっていました

朋花(朋花)

ただそれなりに器用で、人付き合いが上手だっただけ

朋花(朋花)

それだけで偶然、運よく人の輪の中心にいられた私は、 次第に疑問を抱き始めました

朋花(朋花)

『私の何が評価されているのか?』と

朋花(朋花)

飛び抜けた才能を持っているわけでも、 血の滲むような努力をしたわけでもない

朋花(朋花)

そんな私が、なぜ『人の輪(こ)の中(こ)心』に?

朋花(朋花)

……それから同級生に誘われ、バンド活動をするように なりましたが、疑問は日に日に大きくなっていきました

観客A

あのボーカルの子、上手〜!

観客B

和泉さん! 私、ファンになっちゃいました!

朋花(朋花)

世界中に、嘘をつかれているような

朋花(朋花)

私は確かにここにいるのに、誰も私を見ていないような

朋花(朋花)

そんな時、彼女に出会いました

奏多

どーもはじめまして! えーっと、何だっけ? あ、そうだバンド名だバンド名!

奏多

あー、ウィー・アー……アクアラピッズ!

奏多

――♪

朋花朋花

……っ♡

朋花(朋花)

本物だ、と。そう確信しました

朋花(朋花)

彼女のそばにいれば、私はモブでいられる

朋花(朋花)

みんなが作り上げた私を、その光で灼き殺せる……!

朋花(朋花)

そのはず、だったのに

朋花朋花

(やっぱり私は一生…… 叶えられることのないまま終わる)

なつめ???(なつめ)

……見つけた

朋花朋花

! ……あら

朋花朋花

なつめさんじゃないですか♪

なつめなつめ

……昨日あんなことがあったっていうのに。 よくもまあそんなフツーでいられるわね

朋花朋花

心外ですね。 蛍さんに謝りたくて、こうして待ち伏せているじゃないですか

なつめなつめ

ほんっと、何考えてるかわかんないわねあんたは…… まあいいわ

なつめなつめ

一個だけ、質問に答えなさい

朋花朋花

?

なつめなつめ

あんた、millsageをやる気はあるの?

朋花朋花

……ええ、もちろん

なつめなつめ

そ。じゃ、早速行くわよ

朋花朋花

? どこに?

なつめなつめ

迎えにいくのよ。蛍を

朋花朋花

……え、っと

なつめなつめ

はん、あんたもそんな顔すんのね! 珍しいものが見れたわ

なつめなつめ

確かにあんたはメチャクチャなことをしでかしてくれたわ。 メンバーからは嫌われたってしょうがないレベルのね

なつめなつめ

でもね、あたしはそんなのどうだっていい。 あたしが守んなきゃいけないのは、奏多と作った音楽だけ

なつめなつめ

それが消えてなくならない限りは、 どうぞ喧嘩でも騙し合いでもやっててちょうだいって感じ

朋花朋花

(承認欲求だけで生きている人だと思っていましたが……)

朋花朋花

(どうやら、案外肝が据わっているようですね)

朋花朋花

……? さっき蛍さんを、とおっしゃいましたが……

朋花朋花

まほろさんと凪さんのことは、 迎えに行かなくていいんですか?

なつめなつめ

え? ああ

なつめなつめ

そっちならもうとっくに、迎えに行かせたわよ

凪凪

…………

まほろまほろ

……凪ちゃん

凪凪

! まほろ……!

まほろまほろ

……もしかして、ずっと待ってたの?

凪凪

……うん。 家押しかけるのは、なんか違うかなって

まほろまほろ

メッセージ、ずっと無視したのに?

凪凪

……でも、いつかは読むでしょ

まほろまほろ

……何それ

凪凪

……まほろ、ごめん

凪凪

私……まほろを、傷つけた

凪凪

……最低だよね、私

まほろまほろ

……ほんとだよ

凪凪

……っ

まほろまほろ

でも……私も最低

凪凪

え……

まほろまほろ

朋花ちゃんのことはね、そんなに怒ってないんだ

まほろまほろ

そりゃまあ、びっくりはしたけどさ…… 私が頼りないって思われてたのは、それはそうだよねって感じ

凪凪

……そんなこと……っ

凪凪

……

まほろまほろ

ボーカルも、ベースも、歌詞も…… 私だってやれる。やれるはずだ、って

まほろまほろ

やらなきゃいけないことなんだって勝手に思い込んで、 凪ちゃんの言うこと無視して、無茶して、空回りして

まほろまほろ

その結果、ライブで勝手に自滅……

まほろまほろ

なんかもう、ダサすぎるよね

凪凪

……や、まほろはがんばってたでしょ

まほろまほろ

……そうじゃない

凪凪

みんなを繋ぎとめようとしてたし、 ボーカルも、歌詞だって諦めずに――

まほろまほろ

だから! そうじゃないんだって!

凪凪

……っ!?

まほろまほろ

わかってるよ……私には才能とかカリスマとか、 そういうのはないって! でも……!

凪凪

……まほろ――

まほろまほろ

あーーーーーーっ!!! くやしーーーーーー!!!

凪凪

!?

まほろまほろ

蛍ちゃんにボロ負けした! 向こうは中学生で、私高校生なのに!!

まほろまほろ

みーーーんな私より蛍ちゃんを選んでた!!

まほろまほろ

負けたのも悔しいし、 認めてもらえてなかったのも悔しいけど!

まほろまほろ

昨日……蛍ちゃんの歌を聴いて、もういいんだって! なんか楽になっちゃった私がいて!

まほろまほろ

負けを認めちゃったのが、何より悔しい!!

凪凪

……まほろ

まほろまほろ

あーもう! 何で私には才能ないの!

まほろまほろ

憧れたっていいじゃん! 夢見たっていいじゃん! 私だって、主人公なんだって思いたいよ!!

まほろまほろ

キラキラして、みんなを惹きつけて離さない…… そういうものに……! 私だって……!

まほろまほろ

私だって…………奏多みたいに……

凪凪

……奏多は、特別だよ。無敵のヒーローだったもん

まほろまほろ

…………

まほろまほろ

じゃあ、なんで……?

まほろまほろ

無敵だったのに、誰よりも主人公だったのに。 なんで死ななきゃいけなかったの……

まほろまほろ

ねえなんで!?  なんで奏多は死ななきゃいけなかったの!?

凪凪

…………わかんない……

凪凪

わかんないよ……! そんなこと

まほろまほろ

なんで私たちを置いてったの……!!  なんでなの! ねえ!!

凪凪

わかんないってば!!

まほろまほろ

……っ

凪凪

私だって、ぜんぶ夢だったらいいのにって…… 何度も思った……!

凪凪

『ぜんぶ嘘だよ』って、 その辺からひょっこり奏多が出てきてくれたらって……

凪凪

何度も、何度も……!

まほろまほろ

何で……何でなの。 もっともっと、続きがあったはずなのに

まほろまほろ

まだ高2と高3の文化祭が残ってるし、 修学旅行だって!

まほろまほろ

進路決めて受験して!  みんなでおんなじ大学行ってバンドして!

まほろまほろ

そんな未来が、あったはずなのに……っ!

凪凪

……そうだね

凪凪

本当に、そう

まほろまほろ

なんなのもう……! 全部ぜんぶ、悔しくて、ムカついて……!

まほろまほろ

会いたいよ、奏多……っ

まほろまほろ

バカだなって……笑ってよ……っ!

まほろまほろ

ううぅ……うっ

まほろまほろ

うわああああああ……っ!

まほろまほろ

ぐすっ……ひっく……

まほろまほろ

凪ちゃん、ティッシュ

凪凪

……もうない

まほろまほろ

……なんだよ、もう

まほろまほろ

ぐすっ……あ〜〜。 こんな泣いたの久しぶり

凪凪

……確かに。大騒ぎしてるまほろ、久しぶりかも

まほろまほろ

え、大騒ぎってひどくない……?

凪凪

いやだってさ。子どもの頃は、奏多とまほろで よく言い合いして、2人して泣いたりしてたじゃん

凪凪

けどバンド始めてからはさ、なんか揉めても それなりに大人っていうか

まほろまほろ

そりゃ……いつまでも子どもじゃないんだし

凪凪

うん……だから

凪凪

本音って、言えなくなるんだなぁって

凪凪

なつめ先輩も、朋花も。 ずっと一緒にいたけど、本音で話したことってないのかもね

まほろまほろ

……そうかも

凪凪

……まほろさ。奏多が亡くなってから、 今まで泣いてなかったよね

凪凪

お葬式の時も

まほろまほろ

……!

凪凪

抱えてるものがあるんなら、教えて欲しい

凪凪

もうまほろ一人に、背負わせたくない

まほろまほろ

…………

まほろまほろ

私ね。奏多の夢を、邪魔しちゃったんだ

まほろまほろ

彗星ライジング。10代限定の、バンドの甲子園

まほろまほろ

それに出ようって、後夜祭の時に言われて

まほろまほろ

でも私……そういう未来のこととか、考えたことなくってさ

まほろまほろ

今が楽しすぎて……変わっちゃうのが怖くて。 今じゃなくて、もっと先にしようよって、言っちゃったんだ

まほろまほろ

時間がないこと、誰よりも知ってる奏多に向かって

凪凪

……

まほろまほろ

私があんなこと言わなかったら、 奏多が死んじゃう前に、出れてたりしたのかなって

まほろまほろ

そうじゃなくても、私が出ようって あの時ちゃんと返事できてたら

まほろまほろ

そしたら奏多の気持ちも、少しは……

まほろまほろ

そう思ったら……私がそれを、叶えなきゃって

凪凪

……だから、あんなに無茶してたの?

まほろまほろ

うん……でも、やっぱり私に奏多は 無理だったみたい

まほろまほろ

昨日のライブで、嫌ってくらい思い知ったよ

凪凪

…………

まほろまほろ

酷いやつだよね、私。 自分の罪悪感のために、みんなを巻き込んでさ

凪凪

……どうだろ

凪凪

奏多がどう思ってたかは……奏多にしかわかんないし

まほろまほろ

……だよね

まほろまほろ

あーあ……私、これからどうしよ

まほろまほろ

才能ないって突きつけられて、 罪滅ぼしも、うまくできなくって

まほろまほろ

…………なにができるんだろう

凪凪

……

凪凪

……別にさ。バンド、やめたっていいんじゃない?

まほろまほろ

……え?

凪凪

前にも言ったけど。 辛い思いをしてるまほろは、見たくないよ。 ……そういう道、選んでもいいと思う

まほろまほろ

…………そっか

まほろまほろ

……そうだよね……

凪凪

うん……一度はそうしようって話になったんだし。 ……奏多への、気持ちもさ

凪凪

……大人たちに言われたじゃん。お葬式で。 『時間が解決してくれる』って

凪凪

……『悲しみも、時間が癒してくれる』って……

まほろ・凪まほろ・凪

…………

まほろまほろ

……やだ

まほろまほろ

あ〜もう、何度も何度もこの気持ちになっちゃうな…… でも、嫌なんだもん

まほろまほろ

……やっぱり終わらせたくないよ、 奏多への想いも……私の物語も

まほろまほろ

奏多の代わりもできない、蛍ちゃんみたいな才能もない。 主人公になんか選ばれっこない

まほろまほろ

なんにもない。空っぽ人間

まほろまほろ

わかったよ。痛いほどわかった。 けどさ、ここで降りたら終わりじゃん

まほろまほろ

痛くても、降りたらダメなの

まほろまほろ

自分に何もないのを、終わらせる理由にしたくない……!

凪凪

……あは。ほんと頑固

凪凪

じゃあ、それでいいよ

まほろまほろ

……え

凪凪

それでいい、って言ったの。 向き合って……生きてくしかないんだよ

まほろまほろ

……凪ちゃん

凪凪

いや、わかんないけどね?

凪凪

だってバンドも今こんな感じだしさ もう一度やれるかなんて全然わかんないじゃん

まほろまほろ

……だね

凪凪

……さむ

まほろまほろ

海風、冷たすぎ

凪凪

ね。沁みる

まほろまほろ

…………行こっか